無法地帯

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こんにちは、風呂めぐみです。ご縁のある皆さま、いつもありがとうございます。高松でソーシャルビジネスのプラットホーム、コワーキングスペース・ガイニーを運営させていただいています。コワーキングスペースという提供させていただいている設備の特徴から、起業時の初期投資費用をおさえられるため、何かをはじめたい方の利用も多く、相談にのることがあります。セルフブランディングのお手伝いをさせていただいています。

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夏の暑い日に、冬のことを思い出した。それは道路を横切るときに、かわいい細身の女の子が道路工事用のヘルメットに身を包み、赤いライトを持って誘導していたからです。

最近は女の子も道路に出ているのか、と思いながら夏の暑い中横目にハンドルを切りました。私が思い出したのは冬の雪山、彼女と同じく赤いライトを片手に、車の誘導をしたことがあったからだ。阪神大震災のあった冬、関西のスキースクールに身を置かせてもらっていた私でしたが、私の担当する予定の学校がそのシーズン中40校のうち、山に上がってきたのは4校のみ、あたり前と言えばあたり前でしたが、観光産業は震災でも大打撃を受けていました。スクールの校長先生は、その年呼んだニュージーランドスタッフを半分帰国させスクール内部でもとても、暗い雰囲気が漂っていた。校長先生は、毎日ユンボに乗って、除雪作業に勤しんでいました。やがてスクール小屋近くの宿の除雪もするようになり、除雪組合がストライキに入る情報を耳にした校長先生は、除雪組合の仕事である、駐車場係りを仕事にもらって帰ってきた。震災の影響でスタッフは減っていましたが、次の日の朝レッスンが入っているスタッフも、夜中に起きて駐車場係りをして、それからレッスンへと向かうという、ハードな事をやってのけていました。スクールの方針であまり女性と男性を区別していなかった事もあり、女性でもローテーションで夜中に起きてなんてあたりまえでそれで、私も赤いライトを持って誘導した事があるのです。

いっけん大変そうに見えるこの駐車場の誘導、やってみると色々な人に出会い、色々なことが見えて、とても楽しいのです。レッスンだけしていた年とは違い、色々な事を学びました。まず、携帯電話のあまり普及していなかった時に持たせてくれたのが、トランシーバー、しかも、トランシーバーは持っている人達に、情報がつつぬけとは、私たちは知りません。何人持っているかも知りません。そこで、スクールの若い連中が勝手にトランシーバーを使って色々と、話すものですから、ぽつーんと1人で当番している地元の方々が、面白がって聞き耳をたて、私たちのスクールにすごく親近感をいだいてくれ、レッスンの帰りに事務所によってお茶や、お菓子をいただく仲になったりしていました。話していた内容は、さもレシーバーを使って、かっこをつけて情報を伝えていたのですが、例えば、、

A「青の車、○×や宿泊第一駐車場に誘導よろしく、彼女がかわいいですどーぞ」
B「了解!彼女チェックしました、タイプではありませんどーぞ」

と言った感じで、とにかく思った事をそのままストレートに言っては、らしく受け答えているものですから、聞いている人たちも面白いのです。しかもそれは、宿でお客様を迎えにいくために、待機している人たちも聞いていたのです。駐車場係りが終わってその宿にレッスンに行くと、「menmiさん、駐車場係りが終わってからレッスンに来たんかえ?元気じゃのう」と言われ、宿にも無線が繋がっていると知らずになんで私のシフトを知っているのだろう?と思ったものです。日本人はもちろんの事、ニュージーランドのスタッフも係りをするものですから、片言の日本語も聞いているほうも面白く、時には英語でレシーバーされ、そしてなにより、外人が駐車場係りをしているゲレンデは当時はめずらしく、一気に華やかにイメージアップ!されたのでした。

色々な人に出会いと書きましたが、私が駐車場係りをしていて、一番印象に残っているのは、小さなポメラニアンを連れてスキーに来ていたご家族、小学生の男の子と女の子、お父さん、お母さんというご家族でしたが、朝方になると、犬を車から出して散歩をさせていました。みると、後ろ足が一本不自由でした。私の近くにわんちゃんが来たとき、追いかけてきた子供達に、「この子足が悪いの?」と聞くと、「うん、生まれつき悪いの、家族で生まれたお家に見に行った時、他のわんちゃんもいたんだけどね、お父さんがこの子にしようって言って、連れて帰ってきたの。」と言って走り去って行きました。私はしばらくその意味を考えさせられました。

そして、ついに、とある日のレッスンの帰り道、でっかい除雪車がリズム良く除雪をしているなぁと、歩きながら小屋に向かっていくと、だんだんと運転手の姿が見慣れた人だという事に気がつきました。なんと、ニュージーランドのスタッフのクーリーではありませんか、軽快にトラックを操り、上手に除雪をしている姿は、ここはニュージーランドか?と錯覚しました。その様子を校長先生が近くで見守っていたので、「校長、クーリー大丈夫ですか?」ときいたら、「あいつは、あっちでライセンスを持ってるので、大丈夫だ!次、お前もやってみるか?」「えええ、私やってもいいんですか?」「ここは無法地帯だで、大丈夫だ!」と言って、クーリーとバトンタッチして、校長先生指導の元、人間ぐらいの大きさのあるタイヤを履いている除雪車を運転し、除雪作業をさせてもらった?のです。

ながめはサイコー、無法地帯!

校長先生の口ぐせは、「何事も、経験が大事だ!」

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